平井和正さんと言えば、日本のSF作家を代表する一人。
作品の特徴は、読みやすさとエンターテイメント性の高さ。難しい言葉や専門用語を避け、平易な言葉で書かれているため、SF初心者でも読みやすいのが魅力です。
また、巧みなストーリー展開と魅力的なキャラクターは、読者を最後まで飽きさせません。
そこで今回は、平井和正さんの「アンドロイドお雪」を読んだ感想やおすすめしたい人についてご紹介します。
ぜひ、最後までゆっくりとご覧ください。
平井和正の「アンドロイドお雪」を読んだ感想について
早速、平井和正さんの「アンドロイドお雪」を読んだ感想からご紹介します。
この作品は、SFミステリです。ジャンルとしてはいわゆる本格推理小説の体裁は取っておらず、推理小説の中でもレイモンド・チャンドラーなどのハードボイルドのスタイルです。
舞台設定はロボットやアンドロイドが普通に製造され、人間たちとともに生活をしている世界。ペットもサイボーグされたり知能をアップされたりして喋ることのできる犬や猫が普通にいます。
主人公は野坂という刑事です。相棒には警察ロボットがいたり、日常の中に様々なアンドロイドたちがいるという世界です。
主人公の野坂は正義感が強く、情熱的な若い男性で、刑事としての仕事に意欲的ですが、ケイという恋人もいて日常生活も謳歌しています。
しかし、ケイは大金持ちの令嬢で、刑事という汚れ仕事で貧乏生活をしている野坂は気後れを感じ、添い遂げる将来などなさそうだと感じています。
そんな中で不良少年たちが暴れたり、汚職があったり、現代と全く変わらない、進歩のない社会が描かれています。
ある日、野坂と昔からかかわりのあった犯罪者の老人が亡くなりますが、彼は野坂に遺産を残します。
その遺産とは、お雪という名前のアンドロイド。それも特A級というかなり高いクラスで高価格のアンドロイドです。
このお雪をめぐって、次々と奇怪で陰惨な事件が続発することになるのですが、意外な展開が続き、そして最後の最後、とんでもない真実が明らかになります。
そのページにいたって、思わず「えっ!?」となってしまいました。そして、その真実の辛さと切なさに、無性に悲しくなってきてしまいました。
謎解きと感動が表裏一体となった、SFハードボイルドミステリの傑作中の傑作だと思います。
平井和正のプロフィールや経歴について
ここでは、平井和正さんのプロフィールと経歴をご紹介します。
【プロフィール】
- 名前:平井和正
- 本名:同じ
- 生年月日:1938年5月13日
- 年齢:76歳没
- 出身:神奈川県横須賀市
- 身長:不明
- 血液型:不明
【経歴や人物に関する情報やエピソード】
アニメ映画「幻魔大戦」の原作者として有名。
ほかに「狼の紋章」などのウルフガイシリーズ、「狼男だよ」などのアダルト・ウルフガイシリーズなどマンガ原作者としても活躍して、「エイトマン」「デスハンター」「エリート」などの名作を輩出し、日本版「スパイダーマン」の後半で原作ストーリーも担当しました。
漫画を愛好し、特に高橋留美子氏の「めぞん一刻」が大好きで、「めぞん一刻考」という長文の論考を含む「高橋留美子の優しい世界」という本も出版しています。
高橋留美子氏との長時間にわたる対談も「語り尽くせ熱愛時代」として出版されていますよ。
ちなみに、娘は漫画家の平井摩利氏です。
平井和正の主な代表作品について
「アンドロイドお雪」以外の主な代表作品についてもご紹介します。
- 「サイボーグ・ブルース」
- 「死霊狩り(ゾンビー・ハンター)」
- 「地球樹の女神」
- 「ボヘミアンガラス・ストリート」
- 「狼の紋章」
- 「狼男だよ」
- 「超革命的中学生集団」
- 「幻魔大戦」
この中から、特に「サイボーグ・ブルース」を挙げておきたいと思います。
「エイトマン」の原作者である平井和正さんが小説版として世に送り出した作品であり、「アダルト・ウルフガイ」の原型ともなった作品です。
40年以上前の小説ですが、違和感なく読めます。
SF作家の星新一さんに「読み易過ぎる」と唸らせた平井和正さんのこの作品。彼の文章は、緻密な構成と巧みな言葉遣いによって、読者を一気に物語の世界へと引き込み、最後まで飽きることなく読み進めさせてしまう力を持っています。
平井和正の「アンドロイドお雪」はこんな人におすすめ!
最後に、今回の「アンドロイドお雪」をおすすめしたい人や理由についてご紹介しましょう。
ハードボイルドミステリが好きな人。推理小説に意外性だけではなくて、何かしらの感動や感傷を求めている人。恋愛部分のある推理小説が読みたい人。SFも推理小説も両方好きな人。猫が好きな人。
これらの人に勧めたい理由は、まさに、これらの願望や期待が満たされる推理小説になっているからです。
SFであり、ハードボイルドであり、ミステリです。
意外性がある結末が待っていますが、主人公やヒロインをめぐる様々なドラマがあり、そこから結末に向けて感動や感傷が溢れています。主人公と魅力的なヒロインとの恋愛部分も短いエピソードの中で充実していますよ。
そして、猫が好きな人。これは、この小説の最初から最後まで登場してくる一匹の猫がいるからです。
その名はダイ。ダイは知能を高められ、喋ることができるようになっているサイボーグ猫なのですが、ちょっとダ行の発音が苦手で、「大丈夫だよ」が「ライジョウブラヨ」とかなってしまうし、自分のことサッちゃんと呼ぶんだよみたいに自分のことを「ライ」と言っちゃったりします。可愛い。
このサイボーグ猫のダイの視点で語られる部分も多く、猫の目から見た人間の生態の愚かさや切なさもたまらないものですよ。
まとめ
今回は、平井和正さんの「アンドロイドお雪」を読んだ感想やおすすめしたい人などについてご紹介しました。
この小説は、かなりエンタメに振り切った作品ですが、サスペンス・ミステリー要素も盛り込まれていて、複数のジャンルをうまく融合させていると言えます。
1960年代に書かれた小説なのですが、今読んでも近未来小説として成立している点が凄いです。
ぜひ、読んでもらいたい作品です。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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