有栖川有栖の「孤島パズル」の感想は?おすすめしたい人やその理由についても紹介します!

 

有栖川有栖さんの作風は、論理とトリックを徹底的に追求した「本格派」そのものです。

謎解きの過程が克明に描かれ、最後に提示される真相への納得感が高いのが特徴です。

一方で、ミステリーの枠に収まらないユニークなアイディアも得意としています。

例えば、作中人物が別の作品世界に客演するといったメタフィクション的な技法を駆使することもあり、予測不能な展開が魅力的です。

そこで今回は、そんな有栖川有栖さんの「孤島パズル」を読んだ感想やおすすめしたい理由をご紹介したいと思います

ぜひ、最後までご覧くださいね。

有栖川有栖の「孤島パズル」を読んだ感想は?

早速ですが、有栖川有栖さんの「孤島パズル」を読んだ感想からご紹介します

この作品には、いわゆる「メタミステリー」の要素は含まれておらず、アガサ・クリスティーのような「本格派ミステリー」の伝統を踏襲しています。

そのため、物語の筋を追いながら、または文字通り推理を楽しみながら読むことができる作品となっています。文体は非常に柔らかく、読みやすいです。

ミステリーというジャンルは、特に本格派では新しいアイディアが出尽くしていると感じられがちですが、この作品はプロットの巧みさでそれを補っています。

現代のミステリーにとって欠かせない「密室」の設定を孤島に施し、逃げ場のない緊張感を持たせています。そのため、推理小説を初めて読む方や、典型的な推理小説を求める方には最適だと言えるでしょう。

出版された年には既に現代のテクノロジーがミステリーの設定に逆風をもたらしていたかと思われます(例えば、留守番電話やFAX、ビデオカメラなどがあると証拠が残りやすくトリックが作りにくい)。

しかし、作者は独自のアイディアでこれらの困難を見事に克服し、非常に好感を持てる作品を創り上げています。解決へと導く過程が納得のいくものであり、読後感も非常に良好です。

最近の推理小説には分量が多いものが目立ちますが、この作品は古典的な推理小説と比較しても違和感のない適切なサイズでまとめられている点も魅力的です。

この作品は作者にとって代表作と呼べるものであると思います。

有栖川有栖のプロフィールや経歴は?

ここでは、有栖川有栖さんのプロフィールや経歴についてご紹介します

【プロフィール】

  • 名前:有栖川有栖
  • 本名:上原正英
  • 年齢:64歳(2024年3月現在)
  • 生年月日:1959年4月26日
  • 出身:大阪府大阪市

【経歴】

小学5年生で推理作家を志し、初めて小説を執筆します。大学卒業後、大手チェーン書店に就職。1989年、江戸川乱歩賞に投稿した『月光ゲーム Yの悲劇’88』が東京創元社の戸川安宣編集長の目に止まり、大幅に改稿した上で「鮎川哲也と十三の謎」の第四回配本として刊行され、本格的に小説家デビューしました。

【特徴】

作品の中はパラレルワールド的になっており、著者の別作品内の人物が登場する事がままあります。具体的な例としては、「学生アリス」に登場する有栖川有栖が「作家アリス」シリーズを執筆、「作家アリス」に登場する有栖川有栖が「学生アリス」シリーズを執筆しているという設定です。

有栖川有栖の主な代表作品を紹介!

ここでは、有栖川有栖さんの主な代表作品をいくつかご紹介します

  • 「双頭の悪魔」
  • 「46番目の密室」
  • 「ロシア紅茶の謎」

この中では、個人的に「双頭の悪魔」がおすすめ。

この作品は、3つの挑戦状が読者に提示されており、その必要性が物語を読み進めることで明らかになります。

過去の作品の「月光ゲーム」と「孤島パズル」がロジックを重視した作品であったのに対し、「双頭の悪魔」ではそのロジカルな要素がさらに三倍に強化されています。

ページ数は多めですが、その濃密な内容のため読むのが苦にならず、むしろそのボリュームを存分に楽しむことができると思いますよ。

有栖川有栖の「孤島パズル」はこんな人におすすめ!

最後に、有栖川有栖さんの「孤島パズル」をおすすめしたい人や理由をご紹介します。

本格派ミステリー小説を初めて読む人から、すでに慣れ親しんだ読者まで幅広くおすすめできます。

海外の訳本に頼らずに国産の本格派ミステリーを楽しみたい人にとって貴重な作品であり、訳本の文体が苦手な人にもおすすめです。

ミステリー小説ですが、残酷な描写がないため読書感想文にも適しています。

ボリュームも程よく、文章も読みやすいため、幅広い読者に向けた推理小説と言えます。

この点もさすが「本格派」を自負する小説といえます。

中学生でも毎日読めば1週間ほどで読める分量なのもおすすめできる理由です。

まとめ

今回は、有栖川有栖さんの「孤島パズル」をご紹介しました。

「孤島パズル」は、典型的な本格ミステリーの形式を踏襲しつつ、斬新なアイデアで魅力的な一冊です。

孤島という隔離された空間を舞台に、あらゆる避難路を遮断することで、読者に高揚感と緊張感が伝わりやすい作品です。

また、最近のテクノロジーの進歩がミステリーの障害となりがちですが、作者ならではの巧みな設定でその困難を乗り越えています。

謎解きの過程と真相への導き方も納得感があり、ページ数も適度であることから、ミステリー初心者からベテランまで幅広い層におすすめしたい一冊です。

特に、本格ミステリーを楽しみたい方や、このジャンルに初めて触れる方にぴったりの一作だと言えるでしょう。

ぜひ、チェックしてみてくださいね。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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