内田康夫さんは、日本のミステリー界を代表する作家です。
代表作品となっている浅見光彦シリーズは人気があり、ドラマ化を始め、映画化やコミック化もしています。
そこで今回は、浅見光彦シリーズの第2作目となる「平家伝説殺人事件」を読んだ感想についてご紹介したいと思います。
おすすめしたい人や理由についても書いていますので、ぜひ参考にしてみて下さいね!
内田康夫の「平家伝説殺人事件 」を読んだ感想について
早速、「平家伝説殺人事件」を読んだ感想についてご紹介します。
平家の落人伝説を絡めながら、ピュアなヒロインと銀座のホステス周りの人間関係のコントラストが描かれています。ヒロインが主人公に最終バスの時間を偽り家に泊まるように仕向けるあたりは、女性としての共通性も感じさせ、初めて読んだ高校時代は少しドキドキした記憶があります。
作品冒頭の実在の自然災害が無ければ存在し得なかった事件だけに、そこにはリアリティーやきっかけがあればとことんまで堕ち得る人間の業を感じました。残酷な描写や奇抜なアイデアがなくとも読者の心を切なくしたり不条理さを感じさせるあたりは、作者の典型的な作風でファンの心を捉えているのかもしれませんね。
また、ヒロインと主人公・浅見との関係がもっと進んでほしいとも思いましたが、後に作者自身が「結婚させるか迷ったが、そうなればシリーズ化はしていなかったかも知れない」と述懐していたように、主人公とヒロインの別れは、個人的に大好きなこの浅見光彦シリーズが作者の晩年まで継続するための代償のようにも思えました。
旅情ミステリーと銘打たれることに作者本人は抵抗を感じていたようですが、例のごとく高知四万十の美しくも近寄り難い平家落人の集落を文字を通して存分に堪能できましたし、ミステリー小説の面白さを改めて認識することもできました。
緻密なトリックと謎解き、そして歴史ロマンが融合したストーリーは、非常に読み応えがあり、魅力的なキャラクターたちも、物語をより一層盛り上げていました。
特に、ヒロインの気高さや爽やかさを余韻とする作品だと思います。
内田康夫のプロフィールや経歴について
ここでは、内田康夫さんのプロフィールや経歴をご紹介します。
【プロフィール】
- 名前:内田康夫
- 本名:本名同じ
- 年齢:83歳没
- 生年月日:1934年11月15日
- 出身:東京府東京市滝野川区(現・東京都北区)生まれ
- 身長:不明
- 血液型:不明
【経歴や人物に関する情報やエピソードなど】
CM制作会社の社長経験もあり、デビュー作を自費出版し、商業作家となっています。
テレビドラマで映像化の際は、本人役で登場したこともあります。また、とりわけ有名な浅見光彦シリーズ小説内でも本人役で登場することが多々あり、浅見光彦のファンから「先生は出てくるな」と”ファン”レターが来たこともあるとか。
晩年執筆途中となった遺作は、続きを一般公募し完成しています。
また、人気が高い浅見光彦シリーズにちなみ「浅見光彦記念館」が2016年にオープン。
さらに、アニメ『名探偵コナン』に登場するコナンの友達の光彦も、本シリーズ主人公の名前を拝借したんだそうです。
内田康夫の主な代表作品を紹介!
ここでは、内田康夫さんの代表作品についてご紹介します。
内田康夫さんは、「旅情ミステリー」と呼ばれるジャンルを確立した作家で、鉄道や旅行を題材にした作品が多く、読者を旅へと誘うような魅力的な作品が特徴ではないでしょうか。
1. 浅見光彦シリーズ
内田康夫さんの代表作といえば、やはり「浅見光彦シリーズ」でしょう。主人公の浅見光彦は、出版社勤務のフリーライターで、旅先で様々な事件に遭遇します。シリーズ作品は40作を超え、テレビドラマ化もされています。
2. 岡部警部シリーズ
「岡部警部シリーズ」は、警視庁捜査一課の岡部警部を主人公とした作品です。緻密な捜査と心理戦が魅力で、ミステリーファンから高い評価を得ています。
3. 信濃のコロンボシリーズ
「信濃のコロンボシリーズ」は、長野県警の刑事・竹村岩男を主人公とした作品です。竹村岩男は、一見冴えない風貌ながら、鋭い洞察力と推理力で難事件を解決していきます。
この他にも、天河伝説殺人事件、後鳥羽伝説殺人事件、死者の木霊(処女作)も代表作品と挙げておきます。
内田康夫の「平家伝説殺人事件 」をおすすめしたいのは?
最後に、内田康夫の「平家伝説殺人事件」をおすすめしたい人やその理由をご紹介します!
感受性が高く未来がある若い人、とくに中学生ぐらいからであれば楽しめると思います。
とかく複雑さが強調されがちな人間関係の面白さ、理不尽な事柄を時に受け入れつつも同意はしないことの大切さを感じ取れます。
自己責任論や断罪がまかり通る世の中に出る前に、人間としての情を登場人物の立ち振舞から、また美しい情景からも汲み取って欲しい。
また、この作品は、紋切り型の人間にならないように助けてくれると思います。
野暮を言うわけではありませんが、男女の仲についても必ずしも思うようにはならないことや、思いはお互いに強くても別れたり、相手の生き方を尊重することの美しさも描写されています。
作品名に「殺人事件」と銘打ってはいますが、未成年の学生に特に読んでほしいです。
きっと生涯心に残る作品になるのではないでしょうか。
まとめ
今回は、内田康夫さんの「平家伝説殺人事件」を読んだ感想やおすすめしたい人や理由についてご紹介しました。
内田康夫さんご本人は抵抗を感じていたようですが、旅情ミステリーという新しいジャンルを切り開いた功績があります。
緻密なトリックと謎解き、そして旅情あふれるストーリーは、内田康夫さんが亡くなった現在も、多くの読者を魅了し続けています。
ぜひ、内田康夫さんの作品を読んで、旅情ミステリーの世界を堪能してみてください。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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