小林泰三さんの小説と言えば、「アリス殺し」や「玩具修理者」が思い浮かぶ方も多いかと思います。
背筋が凍るような話から感動で涙する話まで、独特な感性で描かれる世界は、読者を魅了し、深い余韻を残します。
今回はそんな小林泰三さんの「アリス殺し」を読んだ感想やおすすめしたい人についてご紹介していきたいと思います。
ぜひ、最後までゆっくりとご覧ください。
小林泰三の「アリス殺し」を読んだ感想について
まずは、読んでみての感想をご紹介したいと思います。
まず初めに、こちらの作品に出会ったきっかけですが、何気なく書店を歩いていた時にたまたまポスターを拝見して一目惚れしました。
私はよく目的もなく書店に行くのですが、それが功を成した作品の一つです。
もともと不思議の国のアリスやそのモチーフが好きなこともあって、すぐに購入を決めましたし、家に帰ってすぐに読みました。
本を開くと、小説の文体がかなり独特であることが衝撃的でした。いわゆる台本書きに近いセリフだらけの書き方で書かれていたのです。
台本書きは地の文が少ない(または全くない)ため状況を把握しづらく、避けるべきとされることが多いですが、こちらの作品はあえてそれを利用して叙述トリックを仕掛けてくることもあり、読んでいてとても面白かったです。
刺激を受けながら読み進めていくと、個性豊かな登場人物たちが夢と現実でそれぞれに奇怪な行動を取り続け、グロテスクな描写と新鮮な文体も手伝って、それこそ夢を見ているときのような妙な非現実感といいますか、浮遊感のようなものがありました。
とにかく奇妙で不可思議だった前半と違い、後半はひたすらどんでん返しの連絡で、これがまた面白く、興味をそそります。
みるみるページを捲ってしまい、これまでにないほど早く読み終えることができました。
読了後も何度も読み返していますし、今でもよく思い出す思い出の一冊です。
翌日すぐに書店に向かい、小林泰三さんの別の作品を購入しました。
推理小説らしいミステリー要素もさることながら、こちらの作品の一番の魅力は、その独特な世界観と文体にあると私は思います。
小林泰三のプロフィールや経歴について
ここでは、小林泰三さんのプロフィールをご紹介したいと思います。
【プロフィール】
- 名前:小林泰三
- 本名:小林泰三
- 年齢:享年58歳
- 生年月日:1962年8月7日
- 出身:京都府
- 身長:不明
- 血液型:不明
【経歴や人物に関するエピソードなど】
洛南高等学校、大阪大学基礎工学部卒業。大阪大学大学院基礎工学研究科修士課程修了。
日本推理作家協会、宇宙作家クラブの会員で、1996年に出版された「玩具修理者」で作家デビューをされたそうです。
ホラーやSF、ミステリーの名手として知られる作家さんで、独特な世界観で多くの人を魅了してきましたが、2020年11月23日に惜しくもがんで命を落とされました。享年58歳でした。
あまりに若く亡くなられたこともあり、訃報を耳にした時は私も悲しみに暮れました。
あまりご自分のことを明かされていない方なので、多くの情報は見つかりませんでしたが、ご本人のお人柄も作風も含めて良い意味で一風変わった方だったようです。
小林泰三の主な代表作品について
ここでは、小林泰三さんの主な代表作品をご紹介したいと思います。
- 「玩具修理者」
- 「海を見る人」
- 「人外サーカス」など・・・
この中での私のお気に入りは、第2回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作品にもなっている「玩具修理者」。
そこに登場する「玩具修理屋さん」は、壊れた物を親にも内緒で無料で直してくれます。
その修理屋さんの風貌や発言がとても奇妙なんですが、さらに死んでしまった猫までも直してくれるというホラー要素満載の短編となっています。
興味のある方は、ぜひ一度読んでみて下さいね!
小林泰三の「アリス殺し」はこんな人におすすめ!
最後に、小林泰三さんの「アリス殺し」をおすすめしたい人についてご紹介します。
独特の世界観やミステリーに惹かれる、悪夢・メルヘン・ファンタジーにご興味のある方にぜひ薦めたい作品です。
特に、不思議の国のアリスやそのモチーフが好きな方には、必ず気に入っていただけることとと思います。
前述のように文体が独特で、セリフが文章の多くを占めるので、小説に興味があるけれども活字を読むのが苦手という方にも読みやすいのではないでしょうか。
ややグロテスクな表現があるので、血や殺傷表現に関わらず、爬虫類などあらゆる意味で「グロテスク」なものに耐性のある方におすすめです。
読み終えたあと、かなりの満足感と「燃え尽きた感」があり、気持ちを引っ張られるハイカロリーな作品なので、できれば時間をたっぷり確保した上で読んでいただきたいですね。
まとめ
今回は、小林泰三の「アリス殺し」を読んだ感想やおすすめしたい人についてご紹介しました。
文体が独特で、セリフが文章の多くを占める作品となっています。
そのため、テンポよく進む会話は逆に不気味に感じ、最後の1ページは驚きと共にかなり怖かった印象がありました。
そんな独特な世界観を垣間見ることができる「アリス殺し」。
ぜひ、一度読んでみてはいかがでしょうか?
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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