日本を代表するハードボイルド作家、大沢在昌さんと言えば、「新宿鮫」シリーズや「ジョーカー・狩人」シリーズなど、数々の話題作を手がけ、高い評価を得ています。
気骨あふれる作品群は、国内外で多くの読者から支持されていますね。
今回は、そんな大沢在昌さんの作品の中から、軍艦島を舞台にしたミステリー「海と月の迷路」を読んだ感想やおすすめしたい人や理由についてご紹介します!
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
大沢在昌の「海と月の迷路」を読んだ感想について
早速ですが、「海と月の迷路」を読んだ感想についてご紹介したいと思います。
この小説は、昭和34年の軍艦島を舞台に、若き警察官が少女の殺人事件を追う物語なのですが……。
この『軍艦島』という閉鎖的で特殊な場所には「島の掟」が生きています。それが故に「警官の職務」を全うするのに一筋縄では行かない環境でした。
今作はなんと言っても、針の筵を味わおうとも「許されざる捜査」に対し「正義」を貫く主人公、荒巻青年に注目です! 荒巻は決してステレオタイプの熱血警官ではないし、気になる女の子の前では寧ろ推しが弱いくらい。どちらかというと、どこにでもいそうな若い兄ちゃんです。
そんな彼は「全島一家族」を掲げる軍艦島に置いて新参者。
当然、うまく立ち回ることができません。 亡くなった少女の存在を「事故」とみなすことで、平和は保てるのか。 顔見知りばかりの島内に「殺人犯がいる」と警鐘するのは島民を脅かす「いらぬ波紋」でしかないのか。
荒巻の葛藤は、他の警察小説ではありえない状況で、疑心暗鬼に追い込まれるシーンはハラハラさせられます。
判明する真実は、正直に言って「胸糞が悪い」です。なんと言っても、犯人の職業的に考えて、犯行の状況が気持ち悪い! そして、事件は終息を迎えますが、その後尾を引く「新たな問題」に、どうしようもないやるせなさを覚えました。
本作は情報集めに奔走する荒巻の推理パートと、閉鎖的な環境という縛りに目が離せません。 歓声を上げるラストじゃないからこそ、深い結末は必見です。
大沢在昌のプロフィールや経歴について
ここでは、大沢在昌さんのプロフィールや経歴についてご紹介します。
【プロフィール】
- 名前:大沢在昌
- 本名:本名同じ
- 年齢:68歳(2024年3月現在)
- 生年月日:1956年3月8日
- 出身:愛知県名古屋市
- 身長:不明
- 血液型:不明
【経歴】
ハードボイルド、冒険作家。推理作家。
小説推理新人賞、日本推理作家協会賞、吉川英治文学新人賞、直木三十五賞、柴田錬三郎賞、日本ミステリー文学大賞、吉川英治文学、紫綬褒章など、数々の賞を受賞されています。
作風はいわゆる「男臭いハードボイルド」である一方で、「葛藤」を描くために主人公は傷つきやすい一面を持っています。
私生活は非常に多趣味で、「大衆小説家は、純文学作家のように書斎に閉じこもってコツコツ書くというイメージとは違い、豪快に稼いで遊ぶのが醍醐味」(インタビュー/本の雑誌)と発言しており、ゴルフ・釣り・テレビゲームと幅広いです。
大沢在昌の主な代表作品について
今回の「海と月の迷路」以外の大沢在昌さんの主な代表作品をご紹介します。
- 「新宿鮫シリーズ」
- 「魔女シリーズ」魔女の笑窪
- 欧亜純白 ユーラシアホワイト
上記に挙げた「新宿鮫シリーズ」や「魔女シリーズ」はどちらも人気作品ですが、特に「新宿鮫シリーズ」は映画やドラマにもなった作品です。
大人気シリーズなので、大沢在昌さんの小説をまだ読んだことがないけど興味があるという方は、ぜひチェックしてみてくださいね!
大沢在昌の「海と月の迷路」をおすすめしたい人は?
最後に、“大沢在昌さんの「海と月の迷路」をおすすめしたい人は?”として理由もご紹介したいと思います。
ハードボイルド作品や冒険小説、探偵もの、警察もの、そして「ヒーローなんだけれど完璧じゃない主人公」が好きな人にオススメです。
大沢在昌さんの作品は背筋をぞくっとさせられる、リアリティのある展開と主人公の心理描写が魅力的なのに対し、「魔女シリーズ」や「新宿鮫シリーズ」など「実際にはありえないのに、あり得そうだと思ってしまう」「あり得たら怖いな……と、ちょっと怖いもの見たさで期待してしまう」舞台設定が他作品とは一線を引きます。
正直、軽く読める作品は少ないです。作り込まれた世界観にどっぷりハマるからこそ、心が震えるような「面白い!」を感じられるのです。
ぜひ、読書の時間をがっつり作って、目の前の大沢在昌作品に飛び込んでください。
スカッとするだけではない読後感は病みつきですよ!
まとめ
今回は、大沢在昌さんの「海と月の迷路」を読んだ感想やおすすめしたい人や理由についてご紹介しました。
軍艦島はかつての炭鉱島で、その独特の歴史や生活を舞台にした小説はあまり多くないと思います。その意味で、この小説は貴重な存在だと感じました。
軍艦島の過去と現在を丁寧にリサーチした上で、まるでその島に足を踏み入れたかのような臨場感あふれる文章が魅力です。
読者を島の時間感覚と空気感に引き込み、軍艦島への理解を深めてくれると思いますよ。
ぜひ、チェックしてみてください。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
コメントを残す